| 企業会計における年金会計の基準が導入されたことも少なからぬ影響を与えたかもしれない。 これも、確定給付型年金採用を忌避する効果を与えたと考えられるものである。 つまり、89年にフル導入された財務会計審議会報告87号(FAS87)により、確定給付型年金の場合企業が抱える年金債務及び期間費用が、基本的に全社一律の方式で測定され、開示が要求されることとなっている。 このFAS87で要求されている年金債務は、予測単位積増方式という発生給付ベースの債務、つまり既に発生したと合理的に見積もられる債務である。 また、債務を評価する際に使用する割引率は、清算価値を測定する考えから基本的に実勢の金利水準が使用される。 従って、確定給付型年金を採用の場合、以前に比して企業が抱える(金利水準や運用環境等による)業績変動リスクが高まったことになる(図表9参照)。

これに対して、確定拠出型年金の場合、既に発生した債務に基づき計算される期間費用は、実際の掛金拠出に対応する形で費用化され、企業が抱える債務という概念も基本的に存在しない。 年金コスト、つまり掛金拠出額はそれが決定される従業員の給与水準などに依存し、業績変動リスクは抑制が可能である。
勿論、米国では資産運用環境が比較的良好で前述の通り積立超過のプランが少なくないことも指摘でき、基本的にこのFAS87による開示が実際にどの程度忌避されたかは定かでない。 但し、GMの例に見られるように実際に年金債務が認識されるに及んで社債発行などに用いられる格付けが急低下した事実もある(図表10参照)。 企業によってはFAS87ベースでの年金債務・費用の開示に躊躇するところがあっても何ら不思議ではなかろう。

戻る 続き  |