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 Asset Management 資産運用  401(k)情報 米国における401(k)プランと我が国への導入について 従業員サイドの要因 (2)

 

 (2) 雇用流動化とポータビリティの確保

 80年代の米国労働市場は、製造業から金融、サービス業への雇用シフトが生起したことにその特徴がある。経済の構造変化を背景とするリストラなどを要因に雇用の流動性が高まったとも換言できよう。特に、伝統的に大規模企業が多い製造業から小規模企業が多いサービス業への雇用シフトは、小規模企業での401(k)プランを始めとする確定拠出型プランの普及に大きく寄与したと思われる。実際、ある研究によれば、79年〜88年における雇用シフトによる確定給付型プランのカバレッジは、サービス業、小売業で大きく低下しており(逆に確定拠出型プランのカバレッジは上昇)、且つ従業員規模が比較的小さい企業を中心に起きたと報告されている(図表5参照)。

 

図表5

 

 一方、確定拠出型プランは、従業員の資産持ち分が個人勘定別に管理されており、転職の場合などにこれを転職先の年金プランなどに移管することが技術的に容易である。 税務上もIRA(個人退職勘定)を含む他の適格プランへの60日以内の移管を非課税で認めており、所謂ポータビリティ(持ち運び)が確保されているといえる。 確定給付型プランでも技術的に個人別持ち分を把握することは不可能でないが、転職の場合、退職年齢まで据え置かれて転職前企業のプランから給付されるのが一般的である。 加えて、この場合転職時点の給与を基準に給付されるのが通常で、給付水準が不十分となることが否めない。 こうしたことから、雇用流動性が高まった80年代以降、ポータビリティが高い確定拠出型プランに対する従業員の選好は大きく高まったと結論付けることが可能となろう。

 なお、余談になるが、確定給付型プラン確定拠出型プランに転換する場合、制度上は一旦確定給付型プランを終了して新たに確定拠出型プランを設立する必要がある。 この終了については(1)当該確定給付型プランの債務が返済され、且つ受給権を満足していること、(2)その配分が法令に違反していないこと、(3)これらの条件下で労使間での配分の合意がなされていること、がその要件となる。 (3)の労使間の合意については、米国においてもそれほど容易という訳ではなく、後継確定拠出型プランの拠出水準など内容面で協議が物別れに終わることも珍しくないといわれる。 実際、図表5にあるように労働組合がある企業においては、確定給付型プランのカバレッジはほとんど低下していない。

 また、確定拠出型プランのプレゼンスの高まりは、401(k)プランの隆盛と置き換えられるものの、雇用のシフトで説明できる部分は全体の5分の1程度に過ぎないとの研究報告がある (図表6参照)。 確定給付型プランから確定拠出型プランへのシフトは、(1)主として確定拠出型プランを提供する小規模企業への雇用シフト、並びに(2)大規模企業、新興企業中心の小規模企業における401(k)プランの新規設立、を背景としていると捉えられよう。 これは401(k)プランのみ提供企業が小規模企業に多く、大規模企業では他のプランとの併用がほとんどという状況と整合的である(図表7参照)。

 

図表6

 

図表7

 

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