SmartFinance.net
ホーム / 預貯金と口座取引 / 投資信託 / 株式投資 / 債券投資 / 保険 / ローンの借入れ / 金融用語 / 金融市場
企業の資金調達貯蓄と投資の基礎知識 / 資産運用 / インターネット・バンキング / インターネット・トレーディング
就職・転職と人材募集 / デジタルマネーとカード / 先物・オプション市場 / 為替とデリバティブ リンク集


 Asset Management 資産運用  401(k)情報 米国における401(k)プランと我が国への導入について 我が国への導入に不可欠な視点 (2)

 

 (2) 我が国への401(k)プラン導入に当たって認識すべき現実

 我が国に米国の401(k)プランなど確定拠出型プランを導入するに当たっては、その前提として認識ないしはクリアにしておくべき事項がある。 これは制度的な措置を講じるなど現実的な対応を考慮する上で、事前に解決しておくべき課題とも換言できる。

 

図表3

 

 第一は確定拠出型プランの所得保障制度としての必要性という点である。 まず、現状でかなり手厚く設計されている公的年金+企業年金(+退職金)に加えて、付加的に確定拠出プランを導入することが果たして意義のあることかという問題である。 例を挙げれば、94年度の厚生年金基金導入企業におけるモデルケースでは、月額29.5万円のうち23.1万円と実に8割程度が本来の公的年金部分(基金を設立していなければ厚生年金本体から支払われる部分)から支給されている。 こうした手厚い公的年金に加えて、さらに純粋な企業年金部分として基礎年金額に匹敵する6.4万円が上乗せされていることになる。 異なる出所データであるが94年度の一人当たり現金給与総額は51.3万円であるから、所得代替率は57.5%、別途の退職一時金を考慮すれば6割以上に達することは間違いない。 十分な代替率と言えるか別として、基礎年金の夫婦合計の2倍以上の水準が支給されている訳で、既存の年金・退職金のフレームワークにさらに確定拠出型年金を加えるというのは不急のことと思われる。

 

図表4

 

 このことは、企業側の負担状況を考えると別の意味で明らかになる。企業の従業員一人当たりに対する年金・退職金や厚生年金保険料法定福利費に含まれる)は増大の一途を辿っており、これ以上追加的な負担は受け入れ困難と思われるからである。 実際、企業の従業員一人当たり年金・退職金負担年額は80年度の18,298円(現金給与総額に占める割合は5.7%)から95年度の45,341円(同8.7%)へと上昇、法定福利費も同期間に26,375円(同8.2%)から58,679円(同11.1%)に達している。 企業業績の拡大テンポの鈍化ないし縮小を考えると、企業の負担感はかなり高まっていると想像できよう。 従って、確定拠出型プランの導入は、基本的に既存の企業年金や退職一時金の一部を代替する方法に拠るしかないと思われる。 むしろ、次に述べる積立不足の問題とも関連して、企業自身が確定拠出型プランを導入することで全体の負担を削減することに繋げる必要に迫られていることも推察できよう。

 第二は、既存の年金・退職金の一部を移行するとしても、明確に個人持分を区分できるかという問題の認識である。 既存の移行部分は基本的に従業員に受給権が付与されていると合理的に見積られる部分となる。 例えば、50年間勤務して500万円の年金・退職金が支払われると約束されている場合で、入社して25年経過した従業員Aさんの権利分は原則250万円とするのが妥当となる(図表5参照)。 つまり、確定拠出型プランの導入の場合、導入時点での所謂要支給額(会社都合)を従業員全員の個人勘定に移管(拠出)する必要がある。

 

図表5

 

 一方、我が国企業において、従業員の現時点での要支給額を拠出可能なところは決して多いとは言えない状況である。 退職給与引当金に対応する資産は担保されていないことに加えて、年金部分にしても過去勤務債務という形で本来積立てられていなければならない資産が積立先送りされているケースが少なくないことによる。 一言で言えば、積立不足の状態にある企業年金が非常に多いということだ。 従って、新たに導入する確定拠出型プランへの拠出を優先的に行うなどの対応はとれるものの、場合によっては全体での拠出金額を削減する必要に迫られる。 その意味では、なるべく早期の拠出をすることで最終的な給付額を出来る限り確保するという観点が重要となろう。

 なお、現在策定論議が進行中の国際会計基準において、退職(従業員)給付分野は米国のFAS87号と極めて類似した基準が採用される可能性が高い。 既に触れたように、積立て超過プランが多い米国においてさえ、企業業績の変動を忌避する傾向が強いことは重要な事実として認識すべきである。 積立不足が一般的な我が国企業において、こうした退職給付会計基準が導入された場合のインパクトには並々ならぬものがあると想像するに難くない。

 こうして考えると、確定拠出型プランの導入は、既存の退職後所得保障を部分的に移行することが基本であり、従前の賃金をはじめとする労務管理システムの変革の一部として実施することが不可避であろう。 企業年金は企業の存在があって初めて成り立つものであるのは、いまさらいうまでもない。 企業存続に係わる問題が退職後所得保障負担面で生じているのであれば、プライオリティとしては負担の抑制に重きを置くのは当然である。 こうした観点から確定拠出型プランの導入は必要であり、むしろ実際に導入した場合に従業員等が出来る限り適切にプラン管理を行う方策を考える、という姿勢を確認するのが重要といえよう。

 

 戻る 続き 

 

 

HOME BACK

ホーム | コンタクト | 広告掲載について  | 免責事項 | 協会について

 

 

Copyright © 2002, CMD Co.,Ltd. All rights reserved.