| 最近、我が国にも米国の401(k)プランのような確定拠出型企業年金の導入を求める声が高まっている。 実際、公的な機関や業界団体あるいは民間の経済研究所など、各方面から提言が相次いでいる。 これらは基本的に、現行の企業年金制度の管理・運営が大きな負担となっており、この負担を軽減したいという企業の要請に起因する。 また、最近の米国において、401(k)プランはIRA(個人退職勘定)と並んで、資本市場(特に株式市場)への資金供給源として重要な役割を演じている。 ミューチュアル・ファンドの隆盛にも大きな影響を与えており、特に証券業界、証券投資信託業界など我が国の市場関係者が期待を寄せることにも繋がっている。 (図表1参照) 一方、ただ単に企業負担を軽減する、あるいは株式市場を活性化するとともにビジネスとして利用したい、といった理由のみで導入期待が高まっている面も否定できない。 企業の行動としてはある意味で当然で、それを批判するつもりは毛頭ないが、米国の401(k)プランを単に移植するだけでは、期待している効果を全く享受できない事態も十分ありえる。 つまり、米国で401(k)プランが発達している事実には、それなりの背景あるいは要因があるのであって、それを考慮せずには我が国において効果ある方策を講じることは不可能であろう。

今回、筆者は401(k)プランの発達がなぜ米国で生起したのかについて、指摘でき得る要因を列挙し、簡単な分析を試みる。 また、それを基に我が国に導入した場合の意義および問題点などにも触れることとしたい。 あまり精緻な分析はできないが、主題のアウトラインを把握する一助となればと考えて止まない。
なお、401(k)プラン発達の要因は、企業サイドの要因と従業員サイドの要因に分けて考えるのが分かりやすいと判断している。 本稿ではまず企業サイドの要因を取り扱い、稿を改めて、従業員サイドの要因、そして我が国に導入する場合の意義・問題点に言及することとしたい。
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