| 導入当初は他の適格年金プランでカバーされていない者に限定して、年間1,500ドルまでの非課税拠出を認めるものであった。 しかし、レーガン大統領による個人貯蓄奨励策などを背景として、81年には他の適格年金プランが適用されている被用者や自営業者にも、年間2,000ドルまでの非課税拠出を認める拡大策が実施された。 この事実上全ての勤労者がIRAを利用できる措置が講じられて以降、IRAは急速な普及を見せた。 85年のIRAによる非課税拠出申告件数及び同申告額はそれぞれ1,620万件、382億ドルに達している。(表1参照) しかし、財政赤字等を背景とした86年の税制改革により、年間2,000ドルの非課税拠出が認められる者が以前のように他の適格年金プランでカバーされていない者に制限され、カバーされている者については一定所得水準以下の者のみ非課税拠出を認めることに再変更された。 (但し、IRAへの拠出は年間2,000ドルまで継続して認められる)。 これにより87年以降、非課税拠出額は大きく減少している。 具体的には、90年の申告件数は520万件、申告額は99億ドルとピーク時(1985年)の3分の1程度の水準にまで落ち込んでいる。(表1参照)。

90年以降、IRAの拡充を求める動きが再び強まってきた。 この背景には個人の貯蓄率を向上させ、投資を増やし、米国産業の国際競争力を強化する狙いがあった。 92年に入ると、ロス議員等がIRA拡充法案を提出したのを皮切りに、次々といくつもの法案が議会に提案された。 そしてクリントン大統領は、94年12月に発表した減税案の中でIRA制度の大幅な改革案を初めて示した。 以降、政府・議会が検討を重ねた結果、97年には「納税者救済法」が制定された。 この法律の特徴は、次の3点に絞られる。
第1点は「IRAの拡充」である。 これは、IRAに加入できる者の所得水準を、今後10年間で2倍に引き上げ、また、最初のマイホームの購入や教育資金の為ならIRAの引出をペナルティ税無しで認めるというものである。
第2点は、拠出金の所得控除はないが、5年以上保有すれば引出時の元本・運用収益とも非課税になる「IRA制度の新設」である(=通称ロスIRA)
第3点は「教育資金用IRA」の新設である。 子供一人につき年間500ドルの拠出を限度とした"バックエンドIRA" の開設を別途認めるというものである。
こうした一連の改革によってIRAの普及が加速するのは間違いない。以下に、これまで触れてきたIRAの種類と内容について示す。(表2参照)
表2 IRAの種類と内容
1. 所得控除のあるIRA
- 資格対象者:18歳から70.5歳までの給与等所得を得ている者、その配偶者。自営業者を含む。
- 拠出金限度額:本人のみの申告の場合は年間2,000ドルまたは給与等所得の100%のいずれか低い方。 収入を得ている配偶者と共同申告する場合は各2,000ドルで計4,000ドル。
- 拠出の時期、拠出の最低限度額:自由
- 拠出金の運用:銀行、貯蓄機関、保険会社、証券会社、投信会社などから選択
- 引出:原則59.5歳までは不可。 また、70.5歳になった翌年の4月までに引出を開始しなければならない。
- 引出形式:一時払い、確定期間支払、終身年金支払、連生遺族年金支払のなかから選択
- 早期引出:原則禁止。 引出した場合は所得税プラス10%のペナルティ税が課される。 但し、前述の通り、97年からは高額医療費の支払い、失業中の医療保険の支払いのための早期引出にはペナルティ税を課さない。 98年以降は、最初のマイホーム購入のための引出についてもペナルティ税を課さないことになった。
- 課税
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- 所得税:拠出金=所得控除、運用益=引出時まで課税
繰延給付金=受取時の所得税率で通常所得として課税
- ペナルティ税:超過拠出=超過額の6%、早期引出=引出金の10%
2. ロールオーバーIRA
退職、転職などで適格企業年金から受け取る一時払給付金を、60日以内にIRAへ移管(ロールオーバー)すれば、源泉課税は免除され、移管資産の課税繰延べ特典が維持されるという制度。
3.バックエンドIRA(=ロスIRA)
拠出金は所得控除にならないが、以下の要件を満たせば引出時の元本・運用収益とも非課税になる。
- 最低5年以上保有
- 59.5歳以降の引出、または最初のマイホーム購入の為の引出
4. 教育資金用IRA
18歳未満の子女一人につき、年500ドルを限度に "バックエンドIRA" を認める。
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