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 Asset Management 資産運用  401(k)情報 米国の個人年金(IRA)について 我が国の個人年金とIRAが示唆するもの

 

 我が国の個人年金とIRAが示唆するもの

 我が国における所得保障政策、つまり年金政策は公的年金(国民年金厚生年金各種共済組合)中心、私的年金(厚生年金基金税制適格年金等)で補完というフレームワークにより運営されている。 従って、私的年金の特徴である自助努力の色彩が濃い個人年金に対する普及促進政策は米国に比してかなり弱いものとなっている。 我が国の個人年金は概ね、表4の通りであるが、米国と様々な点で相違がみられる。(表4参照)

 

表4 我が国における税制適格個人年金の概要

1. 財形年金
  (サラリーマン対象の老後資金準備制度)

 財形年金利用の基本要件
  ・ 55歳未満の勤労者
  ・ 5年以上定期的に給与天引きにより積み立てる
  ・ 年金以外の払い出し不可
  ・ 金融機関は1種類、1店舗まで

 非課税枠は、財形住宅を含め元利合計550万円まで
 (保険型の場合は元金385万円まで)

2.生命保険料控除となる個人年金

  ・ 生命保険会社の個人年金
  ・ 全労災の個人年金
  ・ 簡易保険の個人年金
  ・ JA共済の個人年金

 拠出金は年間5万円までの所得控除
 (他に5万円の特別枠あり)

3. 損害保険料控除となる個人年金

 損害保険会社の個人年金
 拠出金は年間1万5千円までの所得控除

4. 国民年金基金
  (国民年金第1号被保険者:自営業者等を対象)

 毎月6万8千円まで拠出でき、
 全額社会保険料控除として所得控除の対象
 他の制度への移管はできない

5. 小規模事業共済
  (個人事業主・会社、企業組合等の役員を対象)

  1. 毎月7万円まで拠出でき、
    全額社会保険料控除として所得控除の対象
  2. 他の制度への移管はできない

 

 

 特に、勤労者の大半を占めるサラリーマンが拠出可能なものとしては財形年金が制度的に最も近似しているが、非課税積立総額に550万円の制限が設けられている。 IRAでは非課税拠出には所得制限があるものの、積立期間中の運用収益は所得に関係なく非課税(拠出積立額は年間2,000ドル、夫婦の場合は年間4,000ドルまで)となっており、積立のインセンティブが強く働いている。 また、我が国の場合、終身雇用制を前提に設計されているためか制度間の移管が原則としてできないなどの不便さも指摘できる。 以前述べてきたことを総括すると、米国では

「IRAの課税優遇」→「<1>他の適格年金からの移管、<2>投資収益非課税を背景とした拠出などによる積立資産額の増大」→「株式市場への資金流入」→「株式市場の活性化」

という流れが鮮明となる。 勿論、その一方で「財政赤字に対する悪影響」の問題が指摘できるし、「高額所得者優遇」という面も否定できない。

 翻って、我が国の状況を見ると「株式市場の活性化」を喫緊の課題と位置付ける一方で「財政収支の均衡」にこだわり、さらには「高額所得者優遇に繋がりかねない政策は採らない」という匂いが漂っている。 財政の均衡が重要であるのは言うまでもないが、「現在、最も重要なのは何か」という視点からはIRAを一考する価値はあろう。 加えて、「高齢者社会を迎えて公的年金の財政が将来的に厳しくなっていく」と指摘されることも少なくないが、こうした面からも、個人年金の活用は一つの考え方として議論の余地があるのではなかろうか。 自助努力の国、米国におけるIRAの存在は、我が国に対して様々なことを示唆している。

 

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