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著者 : 間瀬 博行
前回はリスク分散のわかりやすい具体例として、「遊園地株」と「傘製造会社」の組み合わせについて考えてみました。この例は、分散投資を行えば、リスクの減少と期待出来るリターンの最大化が並立が可能であることを示唆しています。
リスクとリターンの関係は通常比例の関係にありますから、この関係を何とかして投資家の有利な方向に持ってこないと、いつまでたっても市場から継続的に恩恵を引き出すことが出来ません。つまり、本来は比例の関係にあるリスクとリターンの関係を、何とかしてリスクを小さくして期待出来るリターンをそのままにしておく方法が投資には必要なのです。
1949年のアメリカのアルフェレッド・ジョーンズ氏の著書「経済学のファッション」は、当時非常に革新的なリスクの分散方法を示して、ウェール街の話題を独占しました。
その考え方は、基本的にマーケットの如何なる動きに対しても「絶対的」にニュートラルの姿勢を取る考え方で、マーケットとの「相対的」なニュートラルのスタンスの考え方とは少し違っています。
○ 具体例
鉄鋼株Aと同じく鉄鋼株Bがあります。どちらも同じような会社なのですが、今度Bの方の会社のトップが代りそうで、その新経営者には会社を引っ張るかなりの実力がありそうです。Aの会社の経営者はしばらく代りそうもありません。
この時、Bの株式を買って、同時にAの会社の株式を売り建てれば、基本的に連動性が強い会社なので、マーケットの大きな動きには影響されにくいことになります。つまり、リスクが非常に小さい状態にあります。
ただここで、予想通りにBの経営者が変わって新しい経営者が実力を発揮すれば、Bの株式だけ上昇していく可能性があります。つまり、リスクを小さくしながら、Bの株式の上昇リターンのある程度を取ることができるのです。更に、BがAを打ち負かせば、更にそのリターンは上昇する可能性もあります。
○ この影響
これは、現在は「ロング・ショート」と呼ばれるヘッジ・ファンドの常套手段で、期待リターンの絶対値はそれほど大きくないのですが、リスクも小さいので堅実的な投資とも考えられています。そして、大切なことは、もちろん「分散投資」の効果を再確認することでもあります。
ただ、こうした「ロング・ショート」の考え方が、銘柄間だけで進んでいるだけではなくて、もっと広いところ、例えば、相関性の強い米国市場と日本市場という市場レベルでも進んでいる可能性を考えると面白いマーケットの見方が出来るかもしれません。
例えば、日本のインデックスを売りながらアメリカのインデックスを買ったりということも考えられます。究極的にはこの取引は為替取引に近くなっていくのでしょうが、銘柄間の「銘柄間の分散の鉱脈」が掘り進まれるにしたがって、こうした「ロング・ショート」が国境を越える、あるいは越えている可能性がヒントになったりします。
市場の連動性の強弱のヒントは、増加する多国籍企業の存在の他に、ひょっとしたら分散投資の考え方も大きく影響されているのかもしれません。そうした意味で考えると為替市場とは、国と国の「ロング・ショート市場」あるいは「スプレッド取引市場」という見方もできて、経済の面白い見方が出来そうです。
一つ確認ですが、相対的なリターンを重視するかしないかは、究極的にはマーケット全体の成長を信じるかかどうかにかかっています。ここに大きな迷いのある方は、再度投資スタンスを熟考されることをお勧めします。
(了)
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